ベントナイトとは?
ベントナイトは「粘土鉱物モンモリロナイトを主成分として、石英、α-クリストバライト、オパールなどの珪酸鉱物を副成分」とした弱アルカリ性粘土岩です。その他の構成元素は Si、Al、Fe、Mg、Ca、Na、K、O、H、S、C からなっており、一般的な岩石と類似した化学組成を持ちます。
米国ワイオミング州 Fort Benton の白亜紀層に産する高いコロイド性を持つ粘土に対し、Knight(1898年)が「Bentonite」と命名しました。日本では戦後「膨潤土」から「ベントナイト」に統一されました。
日本での鉱業の黎明は昭和12年(1937年)で、群馬県や山形県での企業化が進み、土壌改良と洗剤用途が主でした。
モンモリロナイトとは?
モンモリロナイトは、フランス国 Montmorillon に産出した粘土に由来する名称です。「2八面体型含水層状珪酸塩鉱物」として確立され、交換性陽イオンとして Na、K、Ca、Mg、H などを含有しています。
スメクタイトとは?
モンモリロナイトと同様の結晶構造を示す鉱物グループには、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどがあり、これらを総称して「スメクタイト」と呼びます。
モンモリロナイトの形態
モンモリロナイトの基本面間隔は、無水状態で「9.7Å(0.97nm)つまり約1ナノメートル」の極めて薄いシート状です。肉眼では見えず、透過電子顕微鏡(TEM)で観察されます。
厚さの比較例として、モンモリロナイト1枚をコピー用紙1枚と同等の厚さだとすれば、実際のコピー用紙1枚は 810cm もの高さに相当するほど、極めて薄いものです。
ベントナイトの成因
主要なベントナイト鉱床は「数百万年~約2億年前の火山噴火による砕屑性噴出物を起源」とする堆積物が、地下深くに埋積され、地温と圧力の上昇により生成されました。成因は次の2タイプに分類されます。
- 層状型:広大な範囲に薄く堆積した砕屑性噴出物の続成作用による鉱床(米国ワイオミング州、群馬県など)
- 厚層型:厚く堆積した砕屑性噴出物の弱熱水作用による鉱床(ギリシャ国ミロス島、新潟県三川地域など)
ベントナイトの層間水
ベントナイト製品の水分は「数百万年~約2億年の永きにわたり育んで安定した状態」の残存物です。大部分がモンモリロナイトの層間にあり、通常の水とは異なる性状を持ちます。
相対湿度40%での長期乾燥実験では、Na モンモリロナイト層間に1分子層の水が存在しており、これは「地質学的な水」と呼ばれています。工業用ベントナイトは、少なくともこの1分子層の水を保持することが望ましいとされます。
ベントナイトの膨潤
膨潤のメカニズムは、層間陽イオンの種類により異なります。
Na⁺ の場合
結晶層への引力が Ca²⁺ より弱く、Na⁺ の水和力によって水分子が次々と入り込みます。水の供給が充分であれば、無限に膨潤します。
Ca²⁺ の場合
結晶層への引力がより強く、水和エネルギーは Na⁺ の5倍強いものの、層間には「3分子層まで」に限定されます。
外的要因として、モンモリロナイトが分散される水質が重要です。海水やセメント飽和上澄み液のような二価陽イオンが過剰な電解質溶液中では、Na モンモリロナイトは「ケミカルアタック(Chemical Attack)」により速やかに Ca に富むモンモリロナイトに変わり、凝集状態を呈します。
一方、米国ワイオミング州ビックホーン地域のベントナイトのように、層間陽イオン Na⁺ が優勢でありながら Ca²⁺ も豊富に存在する場合は、電解質溶液中への交換が抑制されます。
ベントナイト プロフィール
揺籃期の年表
| 1888年 | 米国ワイオミング州で企業採掘開始 |
|---|---|
| 1898年 | Benton 層から「Bentonite」と命名 |
| 1930年 | 東京工試・重宗亮一氏が山形県産ベントナイトを発表 |
| 1939年 | 群馬県横川でのベントナイト採掘開始 |
| 1942年 | 「ベントナイト粘土および用途」出版 |
| 1946年 | 「膨潤土」出版 |
| 1969年 | 日本初の大規模機械化露天採掘開始 |
鉱物組成
| 主成分 | 粘土鉱物モンモリロナイト |
|---|---|
| 副成分 | 珪酸鉱物(石英、クリストバライト、オパール)、珪酸塩鉱物(長石、ゼオライト)、粘土鉱物(マイカ、イライト)、炭酸塩鉱物(カルサイト、ドロマイト)、硫酸塩鉱物(セッコウ)、硫化鉱物(パイライト) |
液性
弱アルカリ性(2%分散液では一般に pH 9.0~10.8)。
種類
- Na-ベントナイト:交換性陽イオンとして Na イオンが支配的
- Ca-ベントナイト:交換性陽イオンとして Ca イオンが支配的
- 活性化ベントナイト:ソーダ灰により改質
- ホワイトベントナイト:有色物が少なく白色
特徴
- Na-ベントナイト:水中で自ら吸水膨張し、ゲルを経てゾルになる
- Ca-ベントナイト:水の存在下でせん断作用を加えると吸水膨張し分散する